規則正しい生活を心がけ、皮膚科で処方された飲み薬や塗り薬、施術などのニキビ治療を受けているのに、ニキビが全く良くならないことってありますよね。また、良くなったと思ったら、違う場所にポツンとニキビができてしまったことはないでしょうか。そんなしつこいニキビの対処法について理解していきましょう。
ニキビ初期段階での治療を!
面皰(めんぽう)とはニキビの初期段階で、毛穴に皮脂や角質が詰まっている状態を指します。そこからニキビが進行していくと、皮膚に存在しているアクネ菌やブドウ球菌などの菌が異常に繁殖して、炎症性皮疹となります。ケミカルピーリングで面皰を改善することにより、結果的に炎症性皮疹が減少すると考えられています(1)。
ケミカルピーリングとは
表皮で作られた細胞は、肌の新陳代謝により約28日周期で角質として剥がれ落ちます。しかし、古くなった角質が剥がれずに表面に溜まってしまうと、毛穴がつまりやすくニキビの原因となります。ケミカルピーリングは、古くなった余分な角質を取って肌の新陳代謝を促す治療法です。
研究結果
YUKIKO HASHIMOTO博士がDermatologic Surgery誌というアメリカ皮膚科学会の機関紙に報告した研究では、当クリニックで使用しているサリチル酸マクロゴールを用いたケミカルピーリングで面皰は平均75%減少したと報告されています(2)。
現在保険適応治療のアダパレンなどのレチノイドの塗り薬を使用することで、面皰が55%減少したとされている研究(3)と比較しても、サリチル酸マクロゴールを用いたケミカルピーリングは有効な治療法であると報告しています(2)。また、副作用はヒリヒリ感や乾燥などの一時的な症状のみで、長期に及ぶものはなかったと報告されています(1)。
ただ、現時点では保険適応外であるため、保険適応治療が無効である場合や副作用などで使用できない場合に、ケミカルピーリングを使用することは推奨されています。
まとめ
標準治療ではなかなか治療が終わらないニキビでお困りの場合、ケミカルピーリングを含め、繰り返しできる炎症性ニキビを根本から改善する治療のアクネスニードルやレーザー治療や光線療法といった治療の選択肢がまだ残されています。このままニキビが一生残るのかもと諦めるのではなく、まずは早めに相談することが大切です。
参考文献
(1)尋常性痤瘡治療ガイドライン2017
(2)Hashimoto Y, Suga Y, Mizuno Y, et al: Salicylic acid peels in polyethylene glycol vehicle for the treatment of comedogenic acne in Japanese patients, Dermatol Surg, 2008; 34: 276―279
(3)Cunliffe WJ, Holland DB, Clark SM, et al. Comedogenesis: some new aetiological, clinical and therapeutic strategies. Br J Dermatol 2000;142:1084–91.