ニキビ治療

ニキビ内服治療薬

「ニキビは飲み薬で治せるの?」

ニキビのない綺麗な肌を保つには乾燥対策が重要です。肌は乾燥すると、ターンオーバーが乱れ、角質が異常に積み重なり、毛穴つまりを起こし、ニキビが発生します。特に冬場は、空気が乾燥しているので、ニキビができやすい時期となります。寒い季節となり肌荒れで困っている方も多いこととお思います。ニキビができてしまって、どのように対応をすべきかわからない方に、今回はニキビ内服薬について紹介していきます。

ニキビに対する内服抗菌薬

赤く化膿した急性期のニキビに対して、内服抗菌薬はニキビ治療ガイドラインで推奨されています1)。推奨順に記載すると、ドキシサイクリン(商品名:ビブラマイシン):A、ミノサイクリン(商品名:ミノサイクリン塩酸塩):A*)、ロキシスロマイシン(商品名:ロキシスロマイシン):B、ファロペネム(商品名:ファロム):B、その他の内服抗菌薬はC1以下となっています。(推奨度A:強く推奨、推奨度A*):副作用を考慮するとAに劣るが推奨、推奨度B:推奨、推奨度C1:選択肢の一つとして推奨、推奨度C2:推奨しない)

内服抗菌薬の使用方法

内服薬で強く推奨されているのは抗菌薬のみですが、ニキビの原因菌であるアクネ菌の耐性化を防ぐため長期間の使用は控えるべきとされています。さらに、内服抗菌薬の単独療法は避け、過酸化ベンゾイルやアダパレンなどの外用薬と併用することが推奨されています1)

内服抗菌薬の副作用、注意点

ドキシサイクリン、ミノサイクリンについて説明します。ドキシサイクリンの副作用には、光線過敏症や腹痛、頭痛などがあります。ミノサイクリンの副作用には、目眩や色素沈着、自己免疫疾患などがあります。2種類ともテトラサイクリン系抗菌薬に分類されるため、歯の着色や歯の形成不全、異常な骨形成を起こす可能性があることから、小児や妊婦の方は使用を控えるべきとされています。

ニキビに対する漢方薬

急性期のニキビに対しての漢方薬は、ニキビ治療ガイドラインでは、他の治療が無効あるいは実施できない状況下で,選択肢の一つとして推奨されています1)。推奨されている漢方薬は3種類のみで、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう):推奨度C1、清上防風湯(せいじょうぼうふうとう):C1、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう):C1、とされています1)

抗菌薬、漢方以外の内服薬

ニキビ治療ガイドラインにおいて、抗菌薬・漢方以外の内服薬で推奨されている内服薬はありません1)

ドキシサイクリンに関する論文

Archives of Dermatological誌に掲載された報告では以下の通り記載されています2)

To evaluate the effectiveness of doxycycline (Vibramycin) in acne vulgaris, 62 patients with predominantly inflammatory acne were treated in a double-blind crossover study. The drug was given orally, 100 mg/day, as a single dose every morning for four weeks. No concomitant internal or external therapy was permitted. Noninflamed open and closed comedones were not affected by active or placebo treatment. A good or excellent response in the reduction of inflammatory lesions was obtained in 21 (33%) of the subjects receiving doxycycline, compared to 14 (22%) while receiving placebo. Statistically, the improvement produced by doxycycline was significant, while there was no significant improvement from the placebo.

この研究では、62名のニキビ患者を対象に,ドキシサイクリンとプラセボを1日1回、4週間内服投与しました。皮疹数で効果を評価したところ、ドキシサイクリン投与群で有意な減少がみられたと報告しています。

まとめ

今回、ニキビに対する内服薬について紹介しました。ニキビ治療ガイドラインでは、抗菌薬は強く推奨され、漢方薬は一つの選択肢として推奨されています。しかし、急性期のニキビに対しては、内服薬のみの治療は勧められておらず、過酸化ベンゾイルやアダパレンなどの塗り薬も使用するべきとされています。
クリニックでは、それぞれの患者様にあった治療法を提案させていただきます。ひとりで悩まずに、早く受診することが大切ですね。

参考文献

1) 尋常性痤瘡治療ガイドライン2017
2) Plewig G, Petrozzi JW, Berendes U: Double-blind study of doxycycline in acne vulgaris, Arch Dermatol, 1970; 101: 435―438

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