ニキビ治療

ベピオゲル、デュアック配合ゲルでニキビを治す

ベピオゲル、デュアック配合ゲルでニキビを治す

「去年できなかった分、今年は忘年会の予定でいっぱい。」
「生活習慣が乱れて、肌が荒れてしまっている。」

去年できなかった忘年会や新年会を行う方は多いのではないでしょうか。特に年末年始は不規則な生活を送りやすく、年明けにニキビで困ってしまうことは多いことと思います。なるべく規則正しい生活習慣を送り、ニキビを作らないことが大切ですが、もしニキビができてしまった場合は、早めにクリニックを受診して自分にあったお薬を処方してもらいましょう。今回はニキビの塗り薬であるベピオゲル、デュアック配合ゲルについて簡単に解説いたします。

ニキビの原因

皮脂腺から過剰な皮脂分泌が起こり、出口となる毛穴が詰まることで、原因菌であるアクネ菌やブドウ球菌が増殖します。

ベピオゲル、デュアック配合ゲルとは

ベピオゲルの成分である過酸化ベンゾイルは、2つの作用によりニキビを改善します。1つ目はアクネ菌に対して抗菌的に働きます。2つ目はピーリング作用で毛穴のつまりを取り除くように働きます。デュアック配合ゲルはベピオゲルに抗菌薬であるクリンダマイシンが配合されております。ベピオゲルおよびデュアック配合ゲルはともに、ニキビの治療ガイドラインで強く推奨されている塗り薬です。(推奨度A)1)

2つの共通する成分である過酸化ベンゾイルの作用機序

過酸化ベンゾイルは強力な酸化作用があり、フリーラジカルと呼ばれる不安定分子に分解生成します。フリーラジカルは、アクネ菌に対して抗菌効果があります。またフリーラジカルは毛穴周囲のタンパク質を変性させ、角質の結合を破壊することで、毛穴づまりを取り除くように働きニキビを改善します。

使用方法

1日1回洗顔後に、初めはニキビのある部位に少量ずつ塗布します。副作用が問題なければ使用範囲を広げていき顔全体に塗ることで、新規のニキビを予防することができます。長期的に使用しても、2つの共通成分である過酸化ベンゾイルには薬剤耐性の報告がありません。しかし、デュアック配合ゲルに含まれるクリンダマイシンは耐性化のリスクがあるため、維持療法として使用する際にはベピオゲルなどに変更する必要があります。

ベピオゲル、デュアック配合ゲルの副作用

使い初めには、ヒリヒリ感、赤みや乾燥などの症状が出ることがあります。多くの場合は時間経過とともに症状は軽減していきますが、接触性皮膚炎の症状である強い発赤や腫れなどが生じた場合は直ちに中止して、クリニックにご相談ください。

ベピオゲル、デュアック配合ゲルに関する論文

The Journal of Dermatology誌という皮膚科学会の機関紙に掲載された報告では以下の通り記載されています2)

This study evaluated the efficacy and safety of a once-daily topical application of Benzoyl peroxide (BPO) 3% gel versus an inert vehicle gel in Japanese acne patients. Three hundred and sixty patients were randomized to receive BPO 3% or vehicle for 12 weeks. The primary efficacy end-point was absolute change in number of total lesions (TL) from baseline to week 12 to demonstrate the superiority of BPO 3% versus vehicle. Secondary efficacy end-points were absolute and percent change in TL, inflammatory lesions (IL), non-inflammatory lesions (non-IL) and Investigator’s Static Global Assessment (ISGA). Change in TL counts from baseline to week 12 for BPO 3% was superior to vehicle (difference, -21.0; P < 0.001). Absolute and percent reductions in TL, IL and non-IL counts were greater for BPO 3% at all study visits. The proportion of patients with improvement in ISGA scores was significantly higher with BPO 3% than with vehicle from week 2. All adverse events were mild or moderate. Adverse drug-related reactions were higher for BPO 3% (30%) than with vehicle (5%). Local tolerability scores of grade 1 or more (slight to moderate) were more frequent with BPO 3% than vehicle with the most significant differences observed in dryness (56% vs 27% at week 1-4), peeling (19% vs 9% at week 1-2) and burning/stinging (58% vs 15% at week 1-12). These results indicate that BPO 3% is effective while maintaining a favorable safety and tolerability profile in Japanese acne patients. この研究では、360名の日本人のニキビ患者を対象に、ベピオゲル3%クリーム群とプラセボクリーム群に分け、1日1回、12週間投与しました。12週間後にニキビの皮疹の減少率で効果を評価したところ、プラセボ群と比較して21%の減少がみられたと報告しています。

まとめ

今回はニキビ治療ガイドラインで最も推奨されているベピオゲル、デュアック配合ゲルについて解説いたしました。この外用薬は抗菌作用およびピーリング作用によりニキビ治療に対して有効性が示されています。ニキビでお困りならば、早めにクリニックで相談してみてください。

参考文献

1) 尋常性痤瘡治療ガイドライン2017
2) Kawashima M, Hashimoto H, Alio Sáenz AB, Ono M, Yamada M: Is benzoyl peroxide 3% topical gel effective and safe in the treatment of acne vulgaris in Japanese patients? A multicenter, randomized, double-blind, vehicle-controlled, parallel-group study, J Dermatol, 2014; 41: 795―801

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