ニキビ原因

ニキビは保湿で予防できるの?

ニキビは保湿で予防できるの?

ニキビの原因について

ニキビの発生のなりたちとして、

  1. 皮脂分泌の増えること(亢進)
  2. 男性ホルモンなどの内分泌系の影響
  3. 毛穴の出口部分(毛包漏斗部)の角化異常
  4. ニキビ菌(アクネ菌)の増殖と炎症

の4つが重要な因子と考えられています。1)

皮膚の乾燥とニキビの関係

皮膚の乾燥とは2)

皮膚の乾燥(ドライスキン)とは、皮脂量が不足していて角層の水分保持能力が低く、角層水分量が不足している肌のことを言います。
キメは細かく毛穴は小さく目立たないが乾いていてカサカサしていて粉を吹いたようにみえ、良い角層ができていない状態が乾燥肌です。

乾燥肌の原因は?2)

乾燥肌になる理由としては、年齢も大きな因子となっています。
男女とも歳をとると、細胞間脂質や皮脂量が減少し、女性は20歳をピークに減少していき、男性は30歳代後半から徐々に減少していくことがわかっています。
その他外的な要因としては、乾燥しやすい環境(冬の乾燥、冷暖房エアコンによる乾燥環境など)や紫外線、ストレス、プールなどの塩素、洗顔時の過剰クレンジング(顔の洗いすぎ)、化粧を落とさず睡眠するなどが続くことが挙げられます。
乾燥肌は、油浮きや不意で物が少なく化粧崩れが遅いという特徴がある肌です。ですが、乾燥肌が進行すると皮膚で炎症が伴いかゆみなどの原因となります。

ニキビと乾燥の関係

乾燥肌になると角質細胞のあいだに【すきま】が生じて、体内の水分が蒸発し失われていくと同時に、外部からの異物が肌の奥へと侵入して刺激を与えるようになります。この刺激が肌のかゆみを引き起こすだけでなく、乾燥肌では皮膚の感覚神経繊維が肌の表面に近いところまで伸びてしまい、より刺激に過敏になっています。
また、乾燥肌は肌の水分量をにがさないために、皮脂の分泌が増加したり、肌のターンオーバーが乱れて古い角質が溜まりやすくなったりします。
先にも書きましたが、この皮脂の分泌が増えること、毛穴に角質がたまりやすいことはニキビの原因に含まれており、そういう観点からは、皮膚の乾燥はニキビがでやすい状態といえるでしょう。

保湿はニキビの予防になるのか

皮膚の乾燥はニキビの原因となる可能性は述べてきました。
しかしながら、乾燥肌を保湿剤で保湿することでニキビをよくすることができるのか、もしくはニキビを予防できるのかについては、医学的には直接的に有効性を示すエビデンスはないとされています。3)
ただし、乾燥肌は進行すると外的な刺激にさらされやすくなり、皮膚のかゆみや炎症をおこしてくるので、ニキビだけでなく、保湿剤を使用して乾燥肌を改善させることで、ニキビ以外の肌のトラブルを減らせる、また、乾燥肌の改善は皮脂の分泌増加を抑制し、肌のターンオーバーを改善させることで角質がたまりにくくなり間接的にニキビの発生をおさえてくれる可能性はあります。

どんな保湿が理想的なのか?4)

乾燥肌は、皮膚の角層に含まれる水分が少なくなっています。この乾燥した皮膚に水分を与えて柔軟にするのが保湿剤です。
しかしながら、角層に単純に水分を与えるだけでは、すぐに水分は蒸発していまい、水分をつけたすぐは潤ってますが、また乾燥していまします。
ここで、吸湿性が高く水分を保持できる作用のある成分(湿潤剤)や、硬い角層を柔軟にする作用のある成分(柔軟剤)、皮膚表面をおおってフタの役割をして水分の蒸発を防ぐ成分(閉塞剤)を含有することで乾燥肌に潤いをキープさせることができます。
湿潤剤には、グリセリン・尿素・ヘパリン類似物質・乳酸・多糖類が挙げられます。
閉塞剤としては、ワセリンやワックスがあります。
単なる水分だけではなく、乾燥肌に水分を保持させる湿潤剤が含まれ、閉塞剤で水分の蒸発を防ぐ保湿が理想と考えられます。

化粧水・乳液・クリームはどういう役割?4)

化粧水は、湿潤剤を含む液剤のことを意味します。
乳液・クリームの多くは、水と浸潤剤、また柔軟剤・閉塞剤などの成分を含み、乳液はサラサラしたローションタイプ(乳剤性ローション)や、クリームは軟膏タイプ(乳剤性軟膏)と言われます。
一般的に、乳剤性製剤は含まれる油脂成分が皮膚表面からの水分の蒸発を防ぐ(閉塞作用)があるので、液剤やゲルタイプよりも保湿効果は高くなります。

まとめ

今回は、皮膚の乾燥(乾燥肌)の原因とニキビとの関係について説明しました。
乾燥肌に保湿剤使用することで直接的にニキビを減らすといった医学的なデータはありませんが、乾燥肌による、皮脂の分泌の増加や、ターンオーバーの乱れはニキビ発生の温床にはなっており、保湿剤で乾燥肌のケアをすることで、関節的にニキビの予防にはなると思います。

参考文献

1) 黒川一郎. 小児科診療. 2018;71:1901.
2) 世喜 利彦. Bella Pelle. 2020;5:14.
3) 林 伸和ら. 日皮会誌. 2017;27:1261.
4) 菊池克子. 薬局. 2017;68:96.

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