いぼはうつるの?

いぼはうつるの?

ヒトパピローマウイルス(HPV)と呼ばれるウイルスが、引っ掻き傷やかすり傷・粘膜から侵入することで発症するいぼ(尋常性疣贅:じんじょうせいゆうぜい)。このいぼ(尋常性疣贅)は、身体の別の部位にうつって増えることはあるのでしょうか。また、他人にうつしてしまうことはあるのでしょうか。

尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)はうつる

HPVウイルスによって発症する尋常性疣贅は、身体の別の部位や他人にうつる可能性があります。これは、尋常性疣贅が肌にできた引っ掻き傷やすり傷、口や外陰部などの粘膜に触れることで発症するというメカニズムをもつためです。そのため、HPVウイルスが別の皮膚の箇所から侵入する、またはご家庭のタオルなど他の人が触れる可能性のある媒体から、他人に感染を広げてしまう恐れもあるのです。

とはいえ、通常、健康的な肌は免疫機能によって保護されているため、HPVウイルスに接触したとしてもそうカンタンには感染しないことが大半です。逆にいえば、免疫機能が低下している状態・・例えば風邪をひいている、疲労がたまっているときなどは感染しやすい状態なので注意が必要です。

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老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)はうつらない

一方で、主に加齢が原因で発症する老人性疣贅は、身体の別の部位や他人にうつることはありません。老人性疣贅は「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)」とも呼ばれ、肌の表皮に存在する「ケラチノサイト」のいう細胞が増殖することで発症します。

発生の流れをみてもわかるように、老人性疣贅はウイルスが原因ではなく、当人がもつ細胞が原因ですので、他人からもらってしまう、他人にうつしてしまう心配はありません。

うつる原因と対策

ここまでにご説明したように、いぼの中でも老化が原因となる「老人性疣贅」は人にうつることはありません。ですから、いぼの感染に関して対策をするべきはHPVウイルスが原因となる「尋常性疣贅」になります。

尋常性疣贅が皮膚の傷(ひっかき傷やすり傷など)からHPVが侵入することによって感染することは、これまでに説明した通り。では、事前に感染を防ぐワクチンはないのかというと、現時点ではHPVウイルスに対する特効薬は開発されていません。ですから、尋常性疣贅への対応はいぼが発症したあとの除去施術のみとなるのです。

炭酸ガスレーザーで行ういぼ除去

ただし、HPVウイルスは感染力が高くないのが特徴。身体に正常な免疫力があり、肌の清潔が保たれていれば、高い確率で感染を抑えることができます(しかし遺伝など個人差はある)。

尋常性疣贅を防ぐには、日ごろからよく睡眠をとるなど免疫力の維持に努め、肌を掻きむしったり、肌にできた切り傷や皮がむけている部分に過度に触れないようにする。かゆみを伴うのを避けるため、保湿などスキンケアを心がけることが大切です。

家族やシェアハウスなど複数人と同居する場合は、マットレスやタオルのこまめな洗濯を心がけ、できるならば手に触れやすいタオルなどは分けて使ってもよいでしょう。

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まとめ

・HPVウイルスが原因で発症する尋常性疣贅は、身体の別の部位や他人にうつる可能性がある
・老化が原因で発症する老人性疣贅は感染力をもたない
・尋常性疣贅の予防薬はないため、日頃から免疫力の維持に努め、肌を清潔に保つように心がける