性器疣贅(尖圭コンジローマ)(ウイルス性)

性器疣贅(尖圭コンジローマ)(ウイルス性)

性器疣贅(尖形コンジローマ)は、男女の外陰部(性器)に発症するウイルズ性のいぼのことです。数ある身体のいぼのうち、場所が陰部であることから、発症するも誰にも相談できずにいるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

記事では、そんな性器疣贅(尖形コンジローマ)の概要や主な感染経路、治療法や予防法について解説します。

性器疣贅(尖形コンジローマ)とはどんな病気か?

性器疣贅(尖形コンジローマ)は、性器や肛門のまわりにカリフラワー状(ニワトリのトサカともいう)もしくは乳頭のようないぼができる病気です。HPVウイルスの感染によるものですが、一般的ないぼ(尋常疣贅)の「2a/27/57型」とは違い「6/11型」が発症源なので、異なるHPVのウイルスによるものです。

男女どちらとも感染しうる病気で、男性の場合は陰茎の亀頭の先端部分や冠状溝(かんじょうこう)と呼ばれる部分や陰のうや尿道口・肛門の部分などに。女性の場合は、大小陰唇(だいしょういんしん)や膣(ちつ)・子宮頸部・肛門まわりにいぼができます。

女性の場合、女性器まわりの病気ですので「子宮頸がん」への影響が気になる方もいらっしゃるかと思いますが、性器疣贅(尖形コンジローマ)の原因となるHPVウイルスは低リスクなHPV型であるので安心してください。

性器疣贅(尖形コンジローマ)の症状

性器疣贅(尖形コンジローマ)は、実はほとんど自覚症状がありません。個人差や症状の進行度合いによって異なりますが、かゆみや痛みを感じるケースもあるようです。

いぼの色はピンク色から白色、褐色(黒っぽい茶色)から黒色とさまざま。いぼの大きさは直径1〜3mm前後が多いとされています。

かゆみや痛みがないことが多い(自覚症状がない)ので、発見が遅れてしまいがちですが、性器に見慣れないカリフラワー状のいぼが見られたら、すぐに泌尿器科や皮膚科・婦人科へ診察に行くようにしてください。

なぜならば、治療が遅れるといろいろなリスクが生じるため。性器疣贅(尖形コンジローマ)は、進行するといぼが徐々に大きくなり増える傾向にあります。女性の場合、もし妊娠または近いうちに妊娠する可能性がある場合、いぼが残ったまま出産すると赤ちゃんに感染する可能性もあります(母子感染)。

ですので、特に女性の方や妊娠されている方は、気がかりを感じられるのであれば診察されることを推奨します。また、再発する可能性が高いのも性器疣贅(尖形コンジローマ)の特徴のため、広がる前に除去するべきといえます。

性器疣贅(尖形コンジローマ)の感染経路

性器疣贅(尖形コンジローマ)の感染経路は、そのほとんどが性行為または性行為に準ずる行為(オーラルセックスなど)によることがほとんど。HPV6/11型をもった性行為相手から、皮膚の傷口や粘膜を通じて感染します。そのため、発症する年齢は性行為が盛んな20代〜40代が多い傾向にあります。しかし、ごく稀にHPV6/11型をもっている母親から乳児や幼児に感染し発症するケースもあるようです。

性器疣贅(尖形コンジローマ)は、感染してすぐにいぼが発症するというわけではありません。HPVウイルスに感染して、個人差はありますが3週間から8ヶ月程度、平均にして2.8ヶ月くらいは発症までかかるようです。自覚症状が薄いうえに発症まで期間があいてしまうので、”誰が感染源であるか”特定しにくいのが性器疣贅(尖形コンジローマ)のじれったい部分なのです。

性器疣贅(尖形コンジローマ)の治療法

先ほどもご説明しましたが、性器疣贅(尖形コンドローム)は基本的に痛みやかゆみなどの自覚症状があらわれない病気です。ですので、目視や触ってみて明らかにいぼのようなできものがある、違和感がある場合は、早期に医療機関で診てもらいましょう。男性の場合は、泌尿器科・性病科・皮膚科へ。女性の場合は、婦人科(産婦人科)・皮膚科・性病科へ行きましょう。

診察の結果、性器疣贅(尖形コンジローマ)と診断された場合は、一般的ないぼ(尋常性疣贅)と同じく液体窒素による冷凍凝固療法や炭酸ガス(CO2)レーザー法、サリチル酸を浸透させた軟膏などを塗っていぼの除去をはかります。どのような施術をすすめられるかは、診察した医師の判断によることが多く、かかる費用も保険適用か否かで金額に幅がありますので、一概には言えません。

性器疣贅(尖形コンジローマ)の治療では、肌の表面上のいぼは除去することができますが、目に見えない箇所に広がるHPVウイルスは除去しかねます。最初の治療から3ヶ月以内に患者さんの約25%が再発するとも言われていますので、最低3ヶ月は術後の経過を見守りましょう。

性器疣贅(尖形コンジローマ)の予防法

最後に、性器疣贅(尖形コンジローマ)の予防法について解説します。確実に感染するのを防ぐには、性行為(または性行為に準ずる行為)を行う双方が、病気に感染していないことが一番です。そのうえで、感染を防ぐ効果があるのが「コンドーム」の正しい使用です。

しかし、コンドームを正しく使用したとしても、性器以外の肌にHPVウイルスが存在しており、そこから感染する可能性もありますので、完全に防ぐことはできません。また、子宮頸がんの予防効果が期待される4価ワクチンに、性器疣贅(尖形コンジローム)の予防効果があるともいわれます。が、副作用の問題から日本ではあまり推奨はされていません。

まとめ

・性器疣贅(尖形コンジローム)は性器や肛門まわりにできるカリフラワー状のいぼ
・痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどなく、注意していないと発見が遅れてしまいがち
・治療は一般的ないぼ治療と同じであるが、再発の可能性が高いので術後3ヶ月は様子をみる