いぼに有効なお薬は?

いぼに有効なお薬は?

身体にできるいぼの予防薬・治療薬について解説します。HPVウイルスの感染によって発症する尋常性疣贅、加齢によって発症する老人性疣贅。いぼの発症を未然に防ぐ予防薬、発症後に用いられる治療薬について解説します。

いぼの予防薬はない

ヒトパピローマウイルス(HPV)が肌に感染することで発症する尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)ですが、未然に感染を防止する予防薬(ワクチン)はあるのでしょうか。

残念ながら、足や手・顔や頸部などにできる一般的ないぼ(尋常性疣贅)に対する予防ワクチンは現時点では存在しません(20年7月7日 時点)。外陰部(性器)にできる「尖圭コンジローマ」に対しては、発症元となるHPV6型と11型への予防ワクチンは存在します。

しかし、繰り返しになりますが、一般的ないぼ(尋常性疣贅)に対する予防ワクチンはありませんので、HPVは皮膚へ侵入しないよう、日頃から肌を清潔に保つ、肌を掻きむしったり引っ掻いたりしないなどの心がけが大切。もし、尋常性疣贅が発症した場合は、放っておいても治ることが多いですが、治療をするのであれば次にあげる薬を使用することになります。(当院ではCO2レーザーと切除法のみ)

サリチル酸

サリチル酸とは、皮膚の角質を軟化させるために用いられる薬です。尋常性疣贅(いぼ)だけでなく、タコやウオノメ・水虫に対する治療薬として使われます。日本では、昔からサリチル酸を使用した薬品が市販されており、代表的なものに「イボコロリ(横山製薬)」や「ウオノメコロリ絆創膏(横山製薬)」などがあります。

薬剤としては、サリチル酸が5%〜10%(成人の場合)含まれているものが薬剤として認可されており、「サリチル酸ワセリン軟膏」というかたちで尋常性疣贅の治療で利用されています。治療は軟膏剤または薬剤にして、1日1〜2回ほど患部に塗って行ないます。通常は、皮膚科で行う液体窒素による凍結療法と組み合わせて実施されるケースが多いです。

使用時の注意事項ですが、薬品ごとに使用方法が異なりますので、診察した医師や薬品の説明書きの内容を確認し守るようにしてください。特に、市販薬を購入して自らで治療を進める場合は注意が必要です。アトピー性皮膚炎やただれのひどい部位、傷のある部位への使用は控えてください。

ヨクイニン

ヨクイニンは、ハトムギの皮を取り除いた種から生成された生薬です。生薬とは、体質の改善を目的として天然に存在する産物からつくられた薬のことで、厳密には漢方と同じ意味ではありませんが、同じイメージで認識しておいてもよいでしょう。

尋常性疣贅だけでなく、ひろく肌荒れが気になる人、肌をキメ細かくしたい人などが解決のために服用しても効果がある生薬です。市販されているヨクイニンを含む商品でいうと「イポケアEX(bc-link)」「ビタトレール ヨクイニン錠」「本草 ヨクイニン錠S」などがあります。

ヨクイニンが含まれる薬は、直接いぼがある部分に湿布するケースもあれば、錠剤として服用するケースもあります。ヨクイニンは服用する量をコントロールすれば、小さな子どもでも服用することができます(用法用量は守ってください)。

ヨクイニンの注意点は商品や生薬ごとに異なりますが、一般的な医薬品でも見られるように「妊娠または妊娠と思われる人」「今までに薬によって発疹・かゆみ等を引き起こしたことがある人」は控えるか、事前に医師に相談するよう注意しましょう。

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モノクロロ酢酸

モノクロロ酢酸は強い酸で、いぼに塗ることで組織腐食作用を招き、直接患部の細胞を破壊することでいぼを取り除きます。一般的に「痛みが少ない治療法」と認識されています。

しかし、良質なエビデンスに乏しいという見方もあり、治療に伴って痛みを訴える患者さんもいるようで、施術時には注意が必要です。そもそも、モノクロロ酢酸は劇物指定薬品であり、薬品の安全シートには「すべての安全予防措置を読み、理解するまでは取り扱わないこと」と記載されており、厳重な取り扱いを要すことを十分念頭に置いておく必要があります。

具体的にどのように治療を進めていくのかというと、主に2つの方法がとられます。ひとつは、モノクロロ酢酸を飽和水溶液にして、爪楊枝(つまようじ)を使って患部に塗る方法。塗ったあとはうちわなどで乾かして、2週に1回ほどの割合で塗ることを繰り返します。ちなみに、飽和水溶液とは「ある温度で水に溶かしたとき、それ以上、溶けなくなった状態の溶液」のことです。

もうひとつの方法は、モノクロロ酢酸を塗った後に浸透を助けるために「スピール膏」を貼る方法があります。

まとめ

・いぼ(尋常性疣贅)を予防するためのワクチンはない
・いぼ(尋常性疣贅)に対する薬には「サリチル酸」「ヨクイニン」「モノクロロ酢酸」がある
・モノクロロ酢酸は劇物指定薬品であるため、施術は医師に相談のうえ慎重に進めること

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