ほくろ除去で冷凍凝固療法は用いられるのか

ほくろ除去で冷凍凝固療法は用いられるのか

「ほくろの除去を考えているのだけど、どんな方法がよいのだろう?」どんな方法なら痛くないか、傷は残らないかと悩んでいませんか?

ほくろを除去する方法にはいくつかの種類があります。ここでは、一般的にイボの除去に使われる方法、冷凍凝固療法でほくろの除去は可能なのかまとめてみました。(当院では、冷凍凝固療法は行っておりません)

冷凍凝固療法は「いぼ」の施術で用いられる

あまり耳慣れない「冷凍凝固療法」とはどんな治療法なのでしょうか。冷凍凝固療法とは基本的に「いぼ」の除去施術に使われる方法です。ほくろの除去では主に、炭酸ガス(CO2)レーザーや・くりぬき法・切除縫合法などを用いて行われることが一般的です。

でも、「いぼの除去に使われるならほくろの除去にも使えるのでは?」と思ってしまいますよね。ほくろといぼにはどんな違いがあるのでしょう。冷凍凝固療法について詳しく見ていきます。

そもそも、冷凍凝固療法とは?

そもそも冷凍凝固療法とは、イボの基底細胞を凍結と融解を繰り返し壊死させる方法のことをいいます。冷凍凝固療法の具体的な治療法は、綿棒の先にマイナス196度にも及ぶ液体窒素を染み込ませ、患部に当てて凍傷させ患部を壊死させる方法です。

患部の皮膚が壊死してもイボのあった皮膚の下には新たな皮膚が細胞分裂により再生されてくるので心配はありません。切開法などとは違い、麻酔の心配もなく通常の生活を送っていただけます。ただし、傷跡が残る可能性が高いため顔の施術には適していません。

※基底細胞:表皮の1番奥にある層
※凍結:凍らせること
※融解:融けること

「ほくろ」と「イボ」の違い

ほくろの原因は、紫外線を浴びることによりメラノサイトが活性化されメラニン色素やメラノサイトが皮膚の一部に集中することです。一方で、イボはウイルスの感染や増殖が原因です。

一般的には、免疫力の低下にともない粘膜がウイルスに感染して発症することが多いといわれています。外的な刺激を受けやすい、足の裏や指、ひじなどにできることが多いです。

ほくろの種類1. 色素性母斑

色素性母斑とは、いわゆるほくろのことです。表皮と真皮の間または真皮の中にある母斑細胞からメラニン色素が作られて密集することでできます。

色素性母斑(ほくろ)の形や色はさまざまで、黒いものから茶色いもの、平らなものもあれば盛り上がったものもあります。色素性母斑は生まれつきだけでなく、年齢とともに増えていく場合もあります。

ほくろの種類2. 単純黒子

単純黒子とは、一般的な大きさ2~5mm程度のほくろを指します。紫外線の影響で色素細胞(メラノサイト)が活性化されメラニン色素が過剰につくられることでできるほくろです。

単純黒子は母斑細胞が塊をつくらない状態で黒色や黒褐色を示します。単純黒子は、小さくて平らな色素性母斑と見た目が同じで区別は不可能だと言われています。

イボの種類1. 尋常性ゆうぜい

尋常性ゆうぜいとは、いわゆる一般的なイボのことです。原因は「ヒト乳頭腫ウイルス」というウイルスが皮膚に感染するため。

正常な皮膚では感染することはありませんが、免疫力が低下すると小さな傷から入り込んでしまうこともあります。全身のどの箇所にもできますが、膝やひじ、手足、足のうらなど角質の厚い箇所に多く発症します。

イボの種類2. 老人性ゆうぜい

老化により発症するイボが老人性ゆうぜいです。別名「脂漏性角化症」とも言われ、中年以降に見られることの多い皮膚の老化現象です。

原因は、加齢によるもの、紫外線を長い年月浴びてきた影響によるためといわれています。黒褐色~茶色で良性の腫瘍が顔や首、胸など全身にできてザラザラとした肌触りがあります。

イボの種類3. アクロコルドン、スキンダッグ

アクロコルドンはスキンダックとも呼ばれている皮膚疾患のひとつです。主に、中年以降の方に発症するケースが多く、加齢性のものと考えられています。

アクロコルドンができる箇所は、首やわきなどの柔らかい部位、鼠径部(そけいぶ)など摩擦部位に多く、数ミリの大きさで通常の肌色から淡い褐色になることもあります。自覚症状はないことが多く、顔にできた場合においては気にされる方がいるようです。

冷凍凝固療法のメリット・デメリット

このように「尋常性ゆうぜい」「老人性ゆうぜい」「アクロコルドン(スキンダッグ)」の治療で用いられることの多い冷凍凝固療法。最後に、この冷凍凝固療法のメリット・デメリットをいくつかお伝えします。

冷凍凝固療法のメリット

・冷凍凝固療法では医療保険が適応できる
・簡単な治療なので複数回おこなうことが可能
・お子さまへの治療も痛みが我慢できればできる
・冷凍凝固療法でイボを壊死させることによって、イボのウイルスに対する免疫力が向上するため、自分自身の免疫力でイボのウイルスを治療することが期待できる

冷凍凝固療法のデメリット

・冷凍凝固療法の治療は、治療中から治療後まで通して激しい痛みを伴う
・そのためお子さまには難しい治療となる
・冷凍凝固療法では、液体窒素を押しあてる時間や強さにより効果が異なることがある
・大きな水ぶくれや血豆ができると生活に支障が出ることもある
・治療が強すぎると軽い傷跡ができる可能性もある

まとめ

冷凍凝固療法によってほくろの除去もできるようですが、基本的にイボのようなウイルス性のできものの除去に使われることが多いようです。

ただし、傷跡が残る可能性があるため顔のほくろにはは適さないようです。ほくろにはほくろに相応しい除去方法、イボにはイボに相応しい除去方法を選択することが後々の経過にも良い影響を与えます。

カウンセリング予約

・冷凍凝固療法とは、尋常性ゆうぜいや老人性ゆうぜい、アクロコルドンなどのイボを除去する際に相応しい施術法である
・ほくろの除去に冷凍凝固療法を用いると傷が残る場合があるので顔の施術は控える
・冷凍凝固療法はメリットとデメリットをよく理解しておこなう必要がある