脂肪溶解注射気になる箇所を部分痩せ

脂肪溶解注射

「顔周りに少し肉がついてきたな」
「運動しても顔の周りのお肉は減らないな」

厚生労働省の直近の「国民健康・栄養調査」身体状況及等に関わる調査結果によれば1)、20歳以上の肥満の割合は男性で33.0%、女性で22.3%と報告されています。これによると、20歳以上の日本人の3-5人に1人は肥満ということになります。また、この10年間の推移を見ると、女性ではほぼ変化はありませんが、男性では肥満の割合は徐々に増加しているようです。 そんな方に向けて、痩せたい箇所に注射をするだけで部分的に痩せられるダイエット方法が「脂肪溶解注射」です。

脂肪溶解注射とは

脂肪溶解注射は、脂肪を溶かす成分を直接注入して脂肪細胞を破壊する治療です。体重が増える原因は、脂肪細胞の数が増えるとういうよりは、むしろ脂肪細胞の一つ一つが肥大して大きくなるからだと考えられています。そのため、どんなにダイエットを頑張ったとしても、脂肪細胞自体の数は減らないため、リバウンドする可能性があります。それに対して脂肪溶解注射は、脂肪細胞を破壊して数を減少させる治療ですので、リバウンドが起こりにくくなる可能性があります2)。

脂肪溶解注射

このような方におすすめ

リバウンドしやすい方、顔や腕や太ももなどの部分的に痩せたい方、手術や脂肪吸引に抵抗があり注射治療で痩せたい方などにおすすめです。

脂肪溶解注射の種類

当院ではデオキシコール酸を主成分として、L‐カルニチン、アーティチョークエキスなどを使用した脂肪溶解注射(カベリン)を使用しております。痛みや腫れの程度は少ない注射です。

カベリンの成分

デオキシコール酸(Deoxycholic Acid )

デオキシコール酸は、腸内細菌の代謝によって作られる胆汁酸の一種であり、脂質の消化を助ける働きがあります。また、皮下細胞に注射すると脂肪細胞を破壊し、脂肪を減少させる作用を認めたため、日本の厚生労働省に相当するアメリカ食品医薬品局(FAD)で脂肪の治療薬として承認された薬剤です。

L-カルニチン

L-カルニチンは、体内では肝臓と腎臓で合成されます。摂取したブドウ糖を体内で処理してエネルギーに変換する手助けを行います。結果的にエネルギー生産率を増加させることで、余剰エネルギーである体脂肪を減少させます。

アーティチョークエキス

キク科のアーティチョークから抽出されたエキスです。地中海沿岸の国々で広く栽培されている植物です。アーティチョークにはコーヒーの中に含まれる抗酸化作用のカフェオイルキナ酸やフラボノイドを含んでおり、脂肪を血液中に誘導し、体外への排出を促します。

料金表(税込)
66,000円
121,000円

脂肪溶解注射の副作用

浮腫み、腫れ、赤み、内出血、圧痛などがみられることがありますが、治療後の通常の反応であり、次第に改善していきます。

施術を受けられない方

妊娠中または授乳中の方、皮膚疾患がある方、注射成分にアレルギーをお持ちの方などは、施術を受けることができません。治療を受けられるかどうか心配な方は、まずは当院にご相談ください。

よくある質問

リバウンドはありませんか。

脂肪細胞の数自体を減少させるため、リバウンドの可能性は低くなります。

破壊された脂肪細胞はどうなりますか。

血管やリンパ管を経由して、尿や便として体外に排出されます。

脂肪溶解注射に痛みはありますか?

痛みには個人差がありますが、とても細い針を使用しますので、痛みを感じる患者様は少ないです。

何回くらいの治療が必要になりますか?

個人差はありますが、平均3~5回程度で変化を実感する人が多いです。

ほんとに痩せることはできるの?

脂肪溶解注射についての文献はいくつかあるのですが、たとえばDermatologic Surgery誌というアメリカの機関紙に掲載された報告3)では以下の通り記載されています。

Methods:In this double-blind, placebo-controlled, phase III study, 363 patients with moderate/severe Unwanted submental fat(SMF)were randomized to receive ATX-101(deoxycholic acid 2mg/cm2)or placebo injections into their SMF at up to four treatment sessions 28 days apart,with a 12-week follow-up.
Results:Significantly more ATX-101 recipients met the primary endpoint criteria vs. placebo: on the clinician scale, 65.3% of patients treated with ATX-101 2mg/cm2,were treatment responders vs.23.0% for placebo(P < 0.001); on the patient scale, 66.1% vs.28.7%,were satisfied with their face/chin appearance(P < 0.001).skin laxity was not worsened and patients reported improvements in the severity and psychological impact of SMF with ATX-101 vs.placebo.Most adverse events were transient and associated with the treatment area.

方法:二重盲検プラセボ対照第III相試験では、中等度/重度の顎下の脂肪を有する363名の患者を、ATX-101(デオキシコール酸2mg/cm2)またはプラセボを顎下の脂肪に最大4回、28日間隔で注射する群に無作為に割り付け、12週間の追跡調査を行いました。
結果:臨床医評価では、ATX-101を投与された患者の65.3%が治療反応を示したのに対し、プラセボ投与群は23.0%のみしか反応しませんでした。患者評価では、顔/あごの外観に満足したのはATX-101を投与された患者の66.1%であるのに対して、プラセボ投与群では28.7%という結果でした。ATX-101はプラセボと比較して顎下脂肪の状況と患者の心理的影響を改善することを報告しました。そして、ほとんどの有害事象は一時的で、治療部位に関連するものでした。

以上の報告から、この注射治療は部分的な痩せに適している施術である可能性があります。

脂肪溶解注射は脂肪細胞を破壊する作用により特定部位の脂肪細胞を減らすため、部分痩せに有効であります。顔まわりなど痩せたい部位があるのになかなか痩せられずお困りならば、当院を受診して相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献

1) 厚生労働省「国民健康・栄養調査」
2) Thuangtong R, Bentow JJ, Knopp K, et al. Tissue-selective effects of injected deoxycholate. Dermatol Surg. 2010;36:899–908.
3) Rzany B, Griffiths T, Walker P, Lippert S, McDiarmid J, Havlickova B.Reduction of unwanted submental fat with ATX-101 (deoxycholic acid), an adipocytolytic injectable treatment: results from a phase III, randomized, placebo-controlled study. Br J Dermatol. 2014 Feb;170(2):445-53.