SGLT2阻害薬とダイエット、カナグルの体重減少効果について

本コラムに記載されている内容については、当院では現在提供しておりませんが、参考情報としてご活用ください。

カナグルとは?

「カナグル」はSGLT2阻害剤とよばれるグループに属する薬の1つで、カナグリフロジンを主成分とした2型糖尿病治療の薬として使用されている内服薬です。
田辺三菱製薬より製造販売され、2014年に日本で承認されました。
腎臓で糖を再吸収する役割を持つタンパク質であるSGLT2の働きを阻害し、尿と一緒に糖を排出して血糖値を下げます。
カナグルを服用することで余分な糖が排出されるため、継続して服用することで中性脂肪への変化を防いで体重減少へとつながります。
日本では糖尿病治療薬として承認されており、肥満治療の目的としては承認されていません。

SGLT2阻害剤とは?

SGLT2阻害剤は、余分な糖を尿と一緒に体外に排出して血糖値を下げる薬です。
リンゴの樹皮に含まれるフロリジンを改良して合成されたもので、フロリジン骨格を維持したまま毒性を減らし、内服可能にしたものが現在のSGLT2阻害薬です。
多くの糖尿病治療薬はインスリンの分泌に作用して血糖を下げますが、SGLT2阻害薬はインスリンと関係なく血糖を下げます。

カナグルで痩せる仕組み

カナグルは本来は糖尿病の治療薬ですが、体内の糖の吸収を阻害して排出させることから、ダイエット効果が期待できます。
通常、食事から摂取された糖はエネルギーとなるため腎臓で濾過された後に体外に排出されず、尿細管で再吸収されて体内に戻ります。
必要以上に糖が吸収されると消費されず、余った糖は中性脂肪へ変化するので体重が増えてしまうのです。
SGLT2は尿細管に局在しており、再吸収を防いで尿と一緒に排出します。
1日あたり約60~100gの糖が尿に含まれて排出されますが、糖は1g約4kcalなので、約240~400kcalになります。
お茶碗のご飯にすると1杯150gが約234kcal、200gでは約336kcalに相当します。

カナグルの効果

カナグルは体重減少のほかにも病気を予防する効果も期待できます。

むくみを解消できる

カナグルを服用すると尿と一緒に糖が排出されるためトイレの回数が増えます。
余分な水分が排出されることでむくみを解消でき、体重が減少します。
むくみがひどく水太りしやすい方や、普段トイレの回数が少ない方はむくみ解消効果も期待できるのでおすすめです。

高血糖を予防できる

カナグルは血糖値を抑制する効果があるので、高血糖の方は予防する効果が期待できます。血糖値が高いと血管にダメージを与え、手足のしびれや神経症状、腎臓、糖尿病のリスクがあります。
さらに活性酸素も増えるため生活習慣病を起こすリスクや、老化を早める、肌荒れの原因などデメリットが多いです。
高血糖が続くと血管にダメージを与え続けることになるので、血管の損傷につながり、脳卒中や心筋梗塞などを発症する危険性もあります。
健康的に過ごすためにも血糖値を調整することは大切です。
カナグルをダイエット目的で服用しても、高血糖が原因で起こりやすい症状や病気を防げる可能性が高くなります。

合併症を予防できる

血中の糖分である血糖は膵臓が分泌されるインスリンというホルモンで調節されます。
糖尿病はこのインスリンの量が不足したり働きが悪くなることで血糖値が上昇する病気です。
糖尿病を放置すると神経障害や網膜症、腎臓病などの合併症を引き起こします。
カナグルは血糖値を下げるので、血糖値を調整することで将来起こるかもしれない合併症を予防できる可能性が高まります。

カナグルの特徴

1日1回の服用で継続しやすい

カナグルは1日1回朝食前後に服用するだけなので、継続しやすいです。
起床時にすぐに服用したり、朝のルーティーンに組み込むなどすれな飲み忘れが防げます。

無理な食事制限は不要

ダイエットは糖分を減らしたりカロリー計算をして食事制限をするイメージですが、カナグルは消費されなかった糖を排出するため、無理な食事制限は必要ありません。
食事制限をすると反動で暴飲暴食をしてリバウンドをすることがありますが、カナグルは服用するだけなのでリバウンドを防げます。
服用期間中に極端な食事制限をしてしまうと、身体が糖分を必要とする所為で食べ過ぎてしまうケースがあります。
健康的に減量するために適度なカロリーは必要なため、糖質制限は控えた方がいいでしょう。

周りに気付かれずダイエットできる

カナグルは朝服用するだけなので、朝家を出る前に服用すればそれ以降は服用する必要がありません。
出先で服用することがなく、無理な食事制限もないため普段通りの食事でいいので、周りに気付かれずにダイエットができます。

カナグルの服用方法

1日1回1錠(カナグル錠100mg)を、100ml程度の水かぬるま湯で朝服用します。
朝食前でも朝食後でもどちらでもいいです。
継続して服用することで効果があるため、体重が気になった時だけや食べすぎた時だけなど一時的な服用はしないようにしてください。

より効果を高める方法

医療ダイエットとして用いられる薬はカナグル以外にもあります。
カナグルはSGLT2阻害薬ですが、食欲を抑制して減量効果が期待できるGLP-1受容体作動薬や、脂肪が吸収されるのを抑制するリパーゼ阻害薬などもあります。
医療ダイエットの薬でも働きが違うため、併用することで高い効果が期待できます。
カナグルとの併用でおすすめなのがGLP-1受容体作動薬です。
GLP-1受容体作動薬は満腹中枢に作用して空腹を感じにくくし、満腹感が持続するため自然と食欲を減らして減量する効果があります。
継続することで痩せやすい体質にするため、カナグルと併用することで減量しやすくなり、持続性を高めます。
カナグルはインスリン分泌への関係はないため、単独で使用しても低血糖を起こしにくいといわれています。
ただし併用するには注意が必要なので、自己判断で併用せず医師に相談するようにしてください。

このような方は服用できません

  • 妊娠・授乳中
  • 2ヶ月以内に妊娠を予定している方
  • 18歳未満の方
  • 高齢者
  • 著しく体力が低下している方
  • 1型糖尿病
  • 重症ケトーシスの方
  • 低血糖
  • BMIが18.5未満の方
  • 利尿剤を服用中

ほかにも服用している薬や持病の関係で服用できない方もいます。
担当医師に相談をして服用しても問題ないか確認が必要です。

カナグルの副作用

カナグルは比較的安全性の高い薬ですが、ほかの治療薬と同様に副作用の症状が出る可能性があります。

  • 低血糖
  • 胃腸障害
  • 頻尿

低血糖

カナグルは尿と一緒に糖を排出するので、糖の摂取量が少ないと低血糖を起こすことがあります。
低血糖の症状はめまいや手足のふるえ、冷や汗、意識障害などがあります。このような症状が見られたら砂糖やブドウ糖が入った飲み物を摂取してください。

胃腸障害

服用開始後に便秘や下痢、腹部の不快感など胃腸障害の症状が見られることがあります。
継続しても症状が悪化する場合はクリニックに相談してください。

頻尿

尿と一緒に糖を排出するので、トイレの回数が増えます。こまめに水分補給をしないと頻尿によって脱水症状を起こすことがあります。
脱水症状は喉の渇きや倦怠感、立ちくらみといった症状です。
水分を一度に大量に摂らず、数回に分けてこまめに飲むようにしましょう。

カナグル服用時の注意事項

カナグルは血糖値を下げる薬で低血糖を起こすリスクがあるので、高所での作業や車の運転、危険を伴う作業に従事する場合は注意してください。

カナグルに関するよくある質問

飲み忘れた場合はどうすればいいですか?

朝飲み忘れた場合は1日飲まず、翌日から通常通り服用してください。
誤った服用方法は健康を害することがあります。
飲み忘れたからといって気付いた時に服用したり、翌日まとめて2錠服用するようなことはしないでください。

2回分を服用すると効果は高まりますか?

1日1回1錠が原則です。1回で2錠服用したり、1日に分けて2錠服用することは推奨されていません。
効率よくダイエットしたい方にはGLP-1受容体作動薬との併用がおすすめです。

どれくらいで効果が出ますか?

効果の出方には個人差がありますが、12週間の使用で減量したという海外のデータがあります。
BMI27以上の376人に、カナグル50mg・100mg・300mgを投与する群と偽薬群に分け、12週間後の体重減少率を比較した論文によると、最高で100mg投与の-2.9%、全体平均で-1.6%の体重減少率が確認されたという結果が出ました。
継続することで効果があるため、3ヶ月は継続できるといいでしょう。

(出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24227660「カナグリフロジン:糖尿病のない過体重および肥満の被験者への効果」)

目標の体重になったら止めてもいいですか?

カナグルを服用して目標の体重になったら、いつ止めるか迷う方は多いです。
継続することで効果が得られるため、最低でも3ヶ月間は継続するようにしましょう。
人間の体には元に戻そうとするホメオスタシス(生体恒常性)という働きがあるので、目標を達成したからとすぐに止めてしまうとリバウンドする可能性があります。
そのため、目標体重になってもしばらくは継続しての服用が望ましいです。
体重をキープするためにも、カナグルを止めた後も食生活や生活習慣を乱すことのないように気を付けてください。

止めたらリバウンドしますか?

カナグルの服用を止めたからといってすぐにリバウンドすることはありませんが、注意が必要です。
カナグルは血糖値を下げる効果のある薬のため、低血糖になり糖が吸収されやすくなるので、大量に糖を摂取するようなことは控えてください。
カナグルは脂肪燃焼を促すのではなく、脂肪を貯めにくくする薬なので、継続して服用することを推奨しています。
服用期間中に食事内容や運動習慣を付けるなど生活習慣を改善することにより、体重維持が可能となり服用を止めてもリバウンドを防げます。

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