本コラムに記載されている内容については、当院では現在提供しておりませんが、参考情報としてご活用ください。
目次
リベルサスとは?
リベルサスは痩せるホルモンといわれている経口薬で、インスリンの分泌を促して血糖値をコントロールし、食欲を抑える働きがあります。
本来は糖尿病を治療する薬として作られており、日本以外でもアメリカやヨーロッパでは「2型糖尿病治療薬」として承認されています。
リベルサスは食欲を抑える働きがあるため、継続して服用することで自然と食事量が減って痩せていくので、ダイエット薬として服用されています。
ただし日本では肥満治療の目的としては承認されていません。
糖尿病薬で痩せる理由
リベルサスは本来は糖尿病の治療に使われる薬です。ではなぜ糖尿病の薬がダイエット薬として使われているのでしょうか。
糖尿病とは血糖値が高い病気ということでご存じの方も多いでしょう。
血糖値が高いと体内の血管が障害を受けて腎障害になって透析が必要になったり、網膜症になって失明する恐れがあるなど合併症を起こすことがあります。
高くなった血糖値を下げようとするのが「インスリン」という膵臓で作られるホルモンです。
食事から摂取された糖分は消化酵素などによってブドウ糖に分解され、小腸から血液中に吸収されます。
血中にブドウ糖が増えるとインスリンが分泌され、ブドウ糖は筋肉に送り込まれてエネルギーとして利用されるようにします。
リベルサスは血糖値が上がった時に膵臓からインスリンを分泌するよう働きかけ、血糖値を下げるのです。
また腸の蠕動運動を抑えて食欲中枢に働いて食欲を抑えるため、体重を減らす効果があります。
GLP-1受容体作動薬とは
GLP-1受容体作動薬とは血糖に応じてインスリンを分泌しやすくする薬です。
GLP-1はもともと体内に存在するホルモンで、リベルサスはGLP-1に似た働きをします。
糖尿病治療薬にはインスリン製剤というインスリンそのものを補う薬と、GLP-1受容体作動薬のインスリンの分泌を促す薬があります。
インスリン製剤は低血糖や体重増加のリスクがありますが、GLP-1受容体作動薬にはそのようなリスクが起こりにくいことが特徴です。
GLP-1受容体作動薬はこれまで皮下注射しかありませんでしたが、2020年11月に内服薬ができたため、投薬しやすくなりました。
リベルサスの種類
リベルサスには3mg、7mg、14mgの3種類あります。
それぞれ錠剤の大きさは同じですが3mgは緑色、7mgは赤色、14mgは青色でシートの色が分かれています。
開始量は3mgからで、4週間継続して服用してから増量します。7mgを4週間以上服用しても効果が見られない場合は最大量の14mgまで増量されることがあります。
しかし早く効果を得たいからといって7mgを2錠服用するのは控えてください。
複数錠を一度に服用すると本来の効果を発揮できない可能性があります。
リベルサスの特徴
自然と食欲が減る
リベルサスはインスリンの分泌を促して血糖値を下げる働きがあるので、胃腸の働きを調整して食欲を抑制します。
胃腸の働きが緩やかになって消化速度が遅くなるため、通常よりも少ない食事量で満腹感を感じられ、空腹感も減らせます。
自然と食欲を抑えられるので無理な食事制限の必要がありません。
暴飲暴食を防ぐことができるため、減量後のリバウンド防止にもなります。
今まで食欲が抑えられずダイエットが続かなかった方、カロリー計算が面倒な方でも継続しやすいダイエット方法です。
痩せやすい体質に改善される
リベルサスには脂肪分解や代謝を促進する働きがあるので、継続することで痩せやすい体質へと改善できます。
無理なく食欲をコントロールして減らしていき、ゆっくり痩せやすい体質へ変えていきます。
体質が変わるためリバウンドしづらいのが特徴です。
痩せた後も元に戻りにくくするため、最低でも6ヶ月は継続することを推奨します。
注射でなく経口で投薬できる
GLP-1受容体作動薬は従来は注射薬しかありませんでした。毎日1回自分でお腹や太ももに注射する方法です。
GLP-1受容体作動薬はペプチドホルモンであり、胃で分解されてしまうため注射で投薬していました。
リベルサスは吸収促進剤であるSNAC(サルカプロザートナトリウム)を含有することで、経口投与できるようになりました。
SNACは胃でのタンパク質分解酵素からセマグルチドを保護して吸収を促進し、胃で分解されずに効果を発揮します。
注射には抵抗のあった方でも、経口で投薬できるならできそうという方におすすめです。
リベルサスの効果
リベルサスは以下のような順番で作用します。
- GLP-1がインスリンの分泌を促す
- 血糖値をコントロールして食欲を抑制する
- 胃腸の動きをコントロールして消化速度を緩やかにする
- 脂肪分解や代謝を促す
ダイエットの基本となる摂取カロリーを抑えることで体重減少の効果が期待できます。
リベルサスは血糖値の上昇を抑えて空腹感を感じにくくするため、自然と食欲が減って摂取カロリーが減り、脂肪分解や代謝を促して体重が減少します。
継続することで痩せやすい体質になるため、目標に達した後に使用を中止してもリバウンドしにくいです。
リベルサスの服用方法
1日1回最初の食事前の空腹な状態で1錠服用します。
コップ半分の水(約120ml以下)を目安に飲んでください。
服用する時間は毎日同じでなくても問題ありませんが、起床後すぐに服用する習慣をつけることをおすすめします。
リベルサスは飲食物やほかの薬と同時に服用すると吸収が低下して効果を発揮しません。
また飲料量や服用後の絶食時間も薬の吸収に影響する場合があるので、服用後30分は飲食しないようにしてください。
継続して服用することで効果が得られる薬です。
体重が気になった時や食べすぎた後など一時的に服用しても効果はありません。継続して服用するようにしてください。
飲み忘れた場合はその日は服用せず、次の日からまた服用するようにしてください。
このような方は服用できません
- 妊娠・授乳中
- 2ヶ月以内に妊娠を予定している方
- 18歳未満の方
- 高齢者
- 1型糖尿病
- 低血糖
- BMIが18.5未満の方
- 利尿剤を服用中
- 膵炎を患ったことのある方
- 過去にリベルサスの成分で過敏症のあった方
ほかにも服用している薬や持病の関係で服用できない方もいます。
担当医師に相談をして服用しても問題ないか確認が必要です。
リベルサスの副作用
- 低血糖
- 胃腸障害
低血糖
リベルサスは空腹時には働かず、食事をとって血糖値が上がった時に働くので低血糖を起こしにくいといわれています。
しかし飲み始めには低血糖が見られる場合もあるため注意が必要です。
もともとは糖尿病治療薬なので糖尿病患者が服用する場合低血糖を起こすリスクは少ないですが、血糖値が正常な人は低血糖を起こすリスクがあります。
低血糖の症状はふるえや動悸、冷や汗や空腹感があります。
低血糖の症状が出ないか不安な場合は砂糖やブドウ糖が入った飲み物を用意しておくと安心です。
またリベルサス服用前に極端な食事制限をするのは控えてください。
胃腸障害
飲み始めに吐き気や胃のむかつき、下痢、便秘などの胃腸障害があらわれる場合があります。
多くの場合数日間で治まりますが、症状が治まらない場合や悪化した場合はクリニックに連絡してください。
リベルサス服用時の注意事項
低血糖を起こすリスクがあるので、高所での作業や車の運転、危険を伴う作業に従事する場合は注意してください。
リベルサスに関するよくある質問
服用後に朝食を食べなくてもいいですか?
リベルサスは起床時の空腹状態で服用するのが望ましいです。
そのため空腹であればいいので、その後に朝食を食べなくても問題ありません。
ただし食事の回数が少ないと食事をとった時の血中濃度が急に上昇してしまう可能性があるため、服用30分後に軽い飲食をした方がいいでしょう。
早く効果を出したいから2錠服用してもいいですか?
1日1回1錠が原則です。1回で2錠服用したり、1日に分けて2錠服用することは推奨されていません。
これには吸収促進剤であるSNACが関係します。
リベルサスは3種類ありますが、どれも1錠あたりSNACが300mg含有されています。
1錠につき水120mlでの服用を推奨しているので、多くても少なくても吸収に影響を及ぼす可能性があります。
適切に吸収させるためにも1日1回1錠の服用を守るようにしてください。
どれくらいで効果が出ますか?
通常3~4ヶ月で効果を感じる方が多いです。早い人で1ヶ月程度です。
即効性はないため、毎日用法・容量を守って継続して服用するようにしましょう。
運動の必要はありますか?
適度な運動は必要です。
リベルサスは食欲を抑える効果は期待できますが、消費カロリーを大幅に減らすといった効果はありません。
そのためリベルサスを服用してダイエットしている期間は、適度に運動をして消費カロリーを減らせるようにするとより効果的です。
市販サプリメントとの違いは何ですか?
市販のサプリメントで脂肪の吸収を抑えたり、脂肪燃焼を助けるものなどがあります。
リベルサスは肥満治療で使われている成分と同一のものを服用するので、自然と食欲を抑えて痩せやすい体質に改善します。
サプリメントは食事制限や適度な運動をした上でのダイエットサポートとなるので、飲むのを止めれば元に戻りやすいです。
リベルサスは根本的な原因に対してアプローチできるため、運動や食事制限が苦手な方でも結果を出しやすいのが特徴です。
目標の体重になったら止めてもいいですか?
リベルサスを継続して目標の体重になったら、いつ止めるか迷う方は多いです。
継続することで徐々に食欲が抑えられて痩せやすい体質に変化していくため、最低でも6ヶ月間は継続するようにしましょう。
人間の体には元に戻そうとするホメオスタシス(生体恒常性)という働きがあるので、目標体重になったからとすぐに止めてしまうとリバウンドする可能性があります。
止めて急に食欲が戻るようなリスクは低いですが、徐々に戻っていくためリバウンドしないよう注意は必要です。
目標体重になってもしばらくは継続するのが望ましいです。
体重をキープするためにも、リベルサスを止めた後も食生活や生活習慣を乱すことのないように気を付けてください。