ニキビ治療

アクアチムクリームでニキビを治す

「コロナ期間はニキビがあっても、マスクで隠すことができた」
「コロナが終息するまでにニキビもしっかり治したい」

アフターコロナに向けて、お肌の準備はできていますか。今回はニキビの塗り薬であるアクアチムクリームについて簡単に解説いたします。

アクアチムクリームとは

アクアチムクリームはニューキノロン系の抗菌薬であるナジフロキサシンが主成分で、ニキビの原因菌であるアクネ菌などに作用します。クリンダマイシンやオゼノキサシンといった抗菌薬と同様に、ニキビの治療ガイドラインでも強く推奨されている塗り薬です。(推奨度A)1)

アクアチムクリームのニキビへの作用機序

ニキビの原因菌であるアクネ菌や表皮ブドウ球菌のDNAの複製を防ぐことで、殺菌的に作用します。化膿したニキビの炎症を抑える効果がありますが、化膿していない初期段階のニキビに対しては抗菌薬では治療ができません。ニキビ治療以外にも、ブドウ球菌が原因である毛包炎(おでき)や伝染性膿痂疹(とびひ)などの皮膚感染症の治療にも使われています。

使用方法

朝夕の1日2回洗顔後に、ニキビ部位にピンポイントで適量を塗布します。乾燥がある場合には、保湿剤で保湿した後にアクアチムクリームを塗布することが勧められています。
しかし、長期的に使用することで抗生剤に対する耐性化が起こり、効果がなくなることが問題となっています。そのため、ニキビ改善後に維持療法としての使用は勧められていません。

アクアチムクリームの副作用

乾燥、かゆみ、赤み・ほてりなどがあります。

アクアチムクリームに関する論文

European Journal of Dermatology誌というヨーロッパ皮膚科学会の機関紙に掲載された報告では以下の通り記載されています2)

The aim of this double-blind, multinational, phase III study was to investigate the clinical and bacteriological efficacy of nadifloxacin 1% cream compared with erythromycin 2% cream in 474 European patients with predominantly inflamed slight-to-moderate acne vulgaris. During 12 weeks of treatment both nadifloxacin and erythromycin caused significant reduction in the number of inflamed papulo-pustular lesions (66.7% and 64.7%, respectively) and open and closed comedones. The microbiological evaluation showed a significant reduction of coagulase negative staphylococci (CNS) only in the nadifloxacin group, while Propionibacterium acnes was significantly reduced by both formulations. A significantly higher resistance and the extent of resistant of P. acnes and CNS against erythromycin compared to nadifloxacin were also evidenced. All adverse events reported were minor in both groups. This pivotal erythromycin-controlled study has demonstrated that nadifloxacin 1% cream was as efficacious and safe as erythromycin 2% and extremely low numbers of nadifloxacin-resistant microorganisms were detected in the treatment period.

この研究では、474名の軽症から中等症のニキビ患者を対象に,アクアチムクリームの主成分であるナジフロキサシン1%クリームを1日2回、12週間投与しました。12週間後にニキビの皮疹数で効果を評価したところ、有意な減少がみられたと報告しています。

まとめ

今回紹介したアクアチムクリームだけではなく、クリニックでは患者様それぞれにあったニキビ治療を行うことができます。一般的にニキビの原因は、皮膚の乾燥、偏った食事、睡眠不足、ホルモンバランス異常、紫外線、ストレスなどです。もちろん、生活習慣を見直すことも重要ですが、一人でどうにかしようと考えるよりも、なるべく早くクリニックに行くことが大切です。

参考文献

1) 尋常性痤瘡治療ガイドライン2017
2) Gerd Plewig, Keith T Holland, Pietro Nenoff : Clinical and bacteriological evaluation of nadifloxacin 1% cream in patients with acne vulgaris: a double-blind, phase III study comparison study versus erythromycin 2% cream, Eur J Dermatol, 2006; 16: 48―55

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